埼玉県・長瀞町/自然・渓谷散策
情報確認日:2026年9月23日
川べりに出ると、足の下が平らな岩になります。畳を敷き詰めたような岩が、川に沿って延々と続いている。こういう場所が、池袋から乗り換え一回で行ける距離にあります。
今回ご紹介するのは、長瀞駅を起点に、午前は宝登山神社、午後は岩畳と埼玉県立自然の博物館をたどる日帰りコースです。山頂までは登らず、川べりと参道だけを歩きます。岩畳は長瀞駅から徒歩5分ほど。長瀞町観光協会のよくある質問 ↗
※施設の開館時間・料金と、川の状況による運航の可否は変わります。お出かけ前に埼玉県立自然の博物館の利用案内 ↗と長瀞ラインくだりの案内 ↗でご確認ください。
こんな気分の日に
- 川のそばで、何もしない時間を過ごしたい
- 見ているものが何なのか、その場で知りたい
- 電車だけで行ける自然に、日帰りで出かけたい
日帰り旅の基本情報
| 項目 | このコースの目安 |
|---|---|
| 出発地 | 東京都心(池袋・上野方面から) |
| 交通手段 | 電車+徒歩 |
| 現地まで | 寄居または熊谷で秩父鉄道に乗り換えて長瀞駅へ。出発駅と経路で変わります |
| 現地滞在(基本) | 10:00〜16:00の約6時間 |
| 予算(基本) | 大人1人6,000〜8,300円程度を用意する想定 |
| 歩く量 | 全体で約5kmの見込み。神社への参道は緩い上り、岩畳は凹凸があります |
滞在時間・歩行距離・予算は、この旅程のための編集上の目安です。川下りやロープウェイを加えるかどうかで変わります。
長瀞で楽しみたい、3つのこと
1. 宝登山神社で、火を止めた山の話を聞く

長瀞駅から西へ、緩やかな坂の参道を上った先に宝登山神社があります。御祭神は神日本磐余彦尊(神武天皇)、大山祇神、火産霊神の三柱。創立は西暦110年、およそ1900年前と伝えられています。寳登山神社・神社紹介 ↗
社伝によれば、日本武尊が東国平定の帰りにこの地へ入り、山の姿に惹かれて山頂を目指したところ、突然の山火事に囲まれました。そこへ山犬が現れて火を消し止め、一行を頂上まで導いたと伝えられます。この出来事から山を「火止山」と表し、「ほどさん」と定めた、というのが社名の由来です。
現在の社殿は、江戸時代末から明治初頭に造り替えられた本殿・幣殿・拝殿からなる権現造りです。明治4年に本殿、明治7年に拝殿が完成するまで29年かかりました。欄間には「二十四孝」をはじめ多くの彫刻が施されていて、平成21年の御鎮座1900年を機に改修され、彩色が加えられています。近づいて見ると、色のついた龍や人物が思いのほか細かく彫り込まれているのが分かります。
2. 岩畳で、地球の窓をのぞく

駅の反対側、荒川のほとりに出ると岩畳です。隆起した結晶片岩が、文字どおり畳を敷き詰めたように広がっています。対岸には秩父赤壁と呼ばれる絶壁があり、荒川はこのあたりで青く淀んだ瀞(流れの緩やかなところ)になります。「長瀞」という地名は、この景色から名づけられました。長瀞町観光協会・名所 ↗
この一帯は名勝及び天然記念物「長瀞」として、大正13年12月9日に国の指定を受けています。指定は長瀞町と皆野町にまたがり、名勝としては荒川筋の峡谷・渓谷・深淵の風致景観、天然記念物としては岩石・鉱物・地層の褶曲・地震断層といった地殻運動の現象が対象です。名勝及び天然記念物「長瀞」(長瀞町) ↗
足元の岩がなぜこの形なのかは、博物館の解説が詳しく説明しています。岩畳の結晶片岩は、海底に積もった地層が地下およそ20〜30キロメートルまで押し込まれ、強い圧力を受けてできたもの。その深さの岩を地表で観察できることから、長瀞は「地球の窓」と呼ばれます。岩畳の広がりは幅およそ80メートル、長さ600メートルで、畳にしておよそ2万枚分。垂直に近い割れ目が東西・南北に格子状に走っているため、四角く区切られて見えます。川底には、くぼみに入った石が回り続けてできたポットホールもあり、岩畳で最大のものは直径およそ2メートルあります。野外展示と長瀞「岩畳」(埼玉県立自然の博物館) ↗
岩は濡れると滑ります。水際までは下りず、乾いた平らな場所に腰を下ろして眺めてください。
3. 埼玉県立自然の博物館で、岩の来歴を知る

岩畳から10分ほど歩くと、埼玉県立自然の博物館に着きます。秩父鉄道では長瀞駅の隣、上長瀞駅が最寄りです。観覧料は一般200円、高校生・大学生100円、中学生以下は無料。開館時間は9:00から16:30まで(入館は16:00まで)で、7・8月は9:00から17:00まで(入館は16:30まで)になります。休館日は月曜日ですが、祝日・振替休日、ゴールデンウィーク期間、7・8月、県民の日は開館します。開館時間・休館日・観覧料(埼玉県立自然の博物館) ↗
屋外には、皆野町や長瀞町で採集された結晶片岩が置かれていて、地層が幾重にも折れ曲がった褶曲をそのまま見ることができます。同じ敷地には「日本地質学発祥の地の碑」も立っています。長瀞に東京帝国大学の初代地質学教室教授だったナウマン博士が訪れたのは明治11年のこと。以来、多くの研究者や学生がこの地を訪れ、秩父・長瀞地域は日本地質学発祥の地と呼ばれるようになりました。碑は平成5年、日本地質学会発足100周年などを記念して建てられたものです。
来館者には長瀞自然観察マップが無料で配られています。どの季節に何が見られるか、歩くのにおすすめのルートが載っているので、先に博物館へ寄ってから岩畳へ向かう順にすると、見えるものが少し変わります。
一日の過ごし方
午前に駅の西側の参道、午後に東側の川べりと、方向を分けた組み立てです。
以下の時刻は旅の組み立て例で、列車の発車時刻ではありません。
| 時刻の目安 | 過ごし方 |
|---|---|
| 10:00 | 長瀞駅から参道を歩いて、宝登山神社へ向かう |
| 10:30 | 社殿の彫刻を見て、境内をゆっくり歩く |
| 12:00 | 駅前か岩畳通りで昼食。午後の飲み物も用意する |
| 13:15 | 岩畳に下りて、荒川の流れと対岸の絶壁を眺める |
| 14:30 | 埼玉県立自然の博物館へ。褶曲と発祥の地の碑を見る |
| 16:00 | 上長瀞駅か長瀞駅から帰路へ |
博物館を先に見てから岩畳へ回ると、岩の見え方が変わります。順番を入れ替える日は、入館が16:00までであることだけ確かめておいてください。
アクセスと予算
長瀞へは、秩父鉄道に乗り換えて向かいます。長瀞町観光協会の案内では、池袋から東武東上線で寄居まで約80分、寄居で秩父鉄道に乗り換えて約20分。上野から高崎線で熊谷まで約60分、熊谷で乗り換えて50分。西武池袋線の特急で西武秩父まで約80分、西武秩父駅から御花畑駅まで徒歩5分、そこから秩父鉄道で約20分という経路もあります。長瀞町観光協会・アクセス ↗
秩父鉄道の区間ごとの金額は、公式の旅客運賃表 ↗で確認できます。何度も乗り降りする日は、秩父鉄道全線が1日乗り降り自由になる秩父路遊々フリーきっぷのデジタル版が大人1,700円、小児500円。発売は希望する乗車日の1ヶ月前から利用日当日までで、MaaSアプリ「EMot」かウェブ版で使います。決済にクレジットカードの登録が必要です。おトクなきっぷ(秩父鉄道) ↗
| 費目 | 大人1人の想定 |
|---|---|
| 都心から寄居・熊谷までの往復として確保 | 2,400円 |
| 秩父路遊々フリーきっぷ(確認済みの料金) | 1,700円 |
| 昼食 | 1,200〜2,500円 |
| 埼玉県立自然の博物館(確認済みの料金) | 200円 |
| 甘味・おみやげ | 500〜1,500円 |
| 計画上の合計 | 6,000〜8,300円 |
2,400円は出発駅と経路を決めない予算枠で、確認済みの運賃ではありません。下に挙げる川下りやロープウェイを加える日は、その分を別に見込んでください。車で行く場合は、長瀞に観光用の無料駐車場がないことにご注意ください。有料駐車場の利用になります。
動画で、長瀞の四季を見てみる
長瀞町観光協会が公開している「長瀞の四季」を紹介します。7分半ほどの映像で、岩畳や川下り、宝登山の花など、季節ごとの長瀞の景色が続けて出てきます。協会の公式サイトのトップページにも置かれている動画です。
断っておくと、これは一年を通した景色をまとめた映像で、この日の順路を案内するものではありません。また、公開は2017年です。運航や営業の内容は、下の公式リンクでご確認ください。
出典:長瀞町観光協会
YouTubeで動画を見る ↗ / 長瀞町観光協会公式サイト ↗
※動画プレーヤーの読み込み時にGoogle/YouTubeへ接続します。プライバシー強化モードでもIPアドレス等の送信を完全には防げません。自動再生はしません。詳細はGoogleのプライバシーポリシー ↗をご確認ください。再生できない場合は上のYouTubeリンクをご利用ください。
出かける前に確認したいこと
濡れた岩の上を歩かない。 このコースで一番気をつけたいのは足元です。岩畳の結晶片岩は薄くはがれやすく、雨の日や降った後は滑りやすくなります。靴は底の硬い運動靴かトレッキングシューズを。増水しているときは川べりに近づかず、岩畳の散策を短くして博物館の時間を厚くするほうが安全です。強風の日も同じように組み替えてください。
雨と暑さの出やすい時期がある。 近くの秩父観測所の平年値(1991〜2020年)では、月降水量は9月が236.7ミリ、8月が188.4ミリと、夏から初秋にかけて多くなります。前日の雨が残っている日もあるので、この時期は足元の状態を現地で見てから岩畳へ下りてください。暑さのほうは、8月の日最高気温の平年値が31.0度。岩畳は日陰になるものがほとんどない開けた岩場なので、夏は帽子と飲み物を用意して、博物館や店内での休憩をこまめにはさみましょう。逆に1月の平均気温は1.8度で、川沿いは風が通ります。冬は羽織れるものを一枚多めに。秩父の平年値(気象庁) ↗
川下りは、その日の川しだい。 長瀞ラインくだりの営業期間は3月10日から12月4日まで、営業時間は9:00から16:00頃まで(当日券がなくなり次第終了)。料金はAコース・Bコースとも大人2,000円、3歳以上の小人1,000円で、繁忙期は大人2,200円、小人1,100円です。現在は全コースの営業を見合わせていて、2コースを乗り継ぐ形での案内になっています。荒川の増水・渇水や強風で営業を見合わせる場合もあります。乗るつもりの日は、当日の運航をまず確かめてください。長瀞ラインくだり・料金・ご乗船方法 ↗ / 長瀞ラインくだり ↗
山頂まで行くなら、ロープウェイの時間を先に。 宝登山の山頂には宝登山神社の奥宮があり、宝登山ロープウェイで上がれます。普通運賃は大人(12才・中学生以上)が片道700円・往復1200円、小人(3才以上)が片道350円・往復600円。宝登山ロープウェイ・営業案内・料金 ↗ 長瀞町観光協会の施設案内では9:40より運行とされています。宝登山ロープウェイ(長瀞町観光協会) ↗ 山麓駅は長瀞駅から徒歩20分で、長瀞駅との間に無料のシャトルバスもありますが、運行日は公式のお知らせで確認が必要です。宝登山ロープウェイ・交通アクセス ↗ 山頂を加えるなら、博物館か岩畳のどちらかを外して時間を作ります。
同じ埼玉の一日としては、川越の日帰りガイド ↗もあわせてどうぞ。こちらは蔵造りの町並みを歩く街歩きの一日で、長瀞とは過ごし方が対照的です。ページの下には、埼玉県内の行先と、同じように自然を目当てにした行先も並べてあります。
畳のような岩の上に座って、川の音を聞く。その岩が地下30キロメートルから上がってきたと知ると、同じ景色が少し違って見えます。次の休日は、長瀞へ。
