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ONE DAY IN TOMIOKA

富岡日帰りガイド|富岡製糸場の国宝3棟と駅前の旧富岡倉庫を、上信電鉄で訪ねる

ローカル線に乗って、明治5年の煉瓦を見に行く。
午前は富岡製糸場の国宝3棟、午後は駅前の旧富岡倉庫へ。

富岡製糸場の東置繭所。赤煉瓦の壁に白い窓扉が並ぶ2階建ての長い建物が奥へ続き、手前に白い板壁の木造の建物、道沿いに赤い花の花壇がある
富岡製糸場の東置繭所。撮影当時の風景:Yoshio Kohara / CC BY 3.0(長辺1600pxに縮小)

群馬県・富岡市/世界遺産・街歩き
情報確認日:2026年10月2日

高崎駅で新幹線を降り、西口の先にある上信電鉄のホームから電車に乗って約40分。上州富岡駅は、煉瓦を積んだ壁に白い大屋根をのせた、小さな駅です。ここから街なかを15分ほど歩いた先に、赤煉瓦の長い建物が建っています。1872(明治5)年に操業を始めた富岡製糸場です。

今回ご紹介するのは、午前に富岡製糸場の国宝3棟を見学し、昼食のあと製糸場のまわりの通りを歩いて、帰りに駅前の旧富岡倉庫へ寄る日帰りコースです。行き先はすべて上州富岡駅から歩ける範囲にあります。妙義山や一之宮貫前神社など離れた場所は加えず、製糸場と絹にまつわる建物だけで一日を組みました。富岡市へのアクセス(富岡製糸場) ↗

※開場時間・料金・列車の時刻は変わることがあります。お出かけ前に富岡製糸場のご利用案内 ↗と上信電鉄 ↗でご確認ください。

こんな気分の日に

  • 世界遺産を、時間をかけて一か所だけ見たい
  • 煉瓦や木の古い建物を、細部まで眺めて歩くのが好き
  • ローカル線に乗って、駅から歩ける町へ出かけたい

日帰り旅の基本情報

項目このコースの目安
出発地東京都心(東京・上野駅方面から)
交通手段新幹線またはJR在来線+上信電鉄+徒歩
現地まで高崎駅で上信電鉄に乗り換え、上州富岡駅まで約40分。駅から製糸場まで徒歩約15分
現地滞在(基本)10:00〜16:00の約6時間
予算(基本)大人1人7,900〜16,400円程度を用意する想定
歩く量駅と製糸場の往復、場内、街なかを合わせて約3〜4kmの見込み

滞在時間・歩行距離・予算は、この旅程のための編集上の目安です。高崎まで新幹線を使うかどうか、場内をどこまで見るかで変わります。

富岡で楽しみたい、3つのこと

1. 東置繭所から繰糸所へ、明治5年の工場を歩く

富岡製糸場の繰糸所の内部。白い小屋組みの下、中央の通路の両側に、透明なシートで覆われた繰糸機が奥まで並んでいる
繰糸所の内部。柱のない空間に繰糸機が並ぶ(撮影当時)。写真:Suikotei / CC BY-SA 4.0 · 2018年8月撮影(長辺1600pxに縮小)

富岡製糸場は、明治政府が生糸の品質を高めるためにつくった官営の模範工場です。フランス人のポール・ブリュナを指導者に迎えて1871(明治4)年に建設が始まり、翌1872(明治5)年に主な建物が完成して操業が始まりました。払い下げのあとは三井家、原合名会社、片倉製糸紡績(現在の片倉工業)と経営が移り、1987(昭和62)年3月に操業を終えるまで、115年にわたって生糸をつくり続けました。2014年6月に「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産一覧表に記載され、同じ年の12月には繰糸所・東置繭所・西置繭所の3棟が国宝になっています。富岡製糸場を知る(富岡製糸場) ↗

正門を入って最初に迎えてくれるのが、東置繭所です。長さおよそ104mの繭倉庫で、2階に乾燥させた繭を貯蔵し、1階は事務所や作業場として使われていました。木の骨組みに煉瓦を積んだ木骨煉瓦造で、アーチの中央の要石には、創業の年「明治五年」が刻まれています。アーチの前で、見上げて探してみてください。建物の中にはシルクギャラリーとショップがあります。

その奥に建つ繰糸所は、繭から糸を取る作業が行われていた建物です。長さは約140m。創設時にはフランスから導入した金属製の繰糸器300釜が並び、当時の器械製糸工場としては世界最大規模でした。屋根を支える小屋組みにトラス構造を使っているため、建物の中央には柱がありません。第2次世界大戦後には自動繰糸機が導入され、操業を終えるまで使われました。富岡製糸場のみどころ(富岡製糸場) ↗

公式サイトは、見学は外観が中心で、建物を見るだけでは操業の歴史や産業遺産としての価値が分かりにくい、と説明しています。そのために用意されているのが、解説員によるガイドツアーです。個人で見学する場合、1人1回200円(中学生以下100円)で参加できます。開始時刻は、平日が9:30、10:30、11:30、13:00、14:00、15:00の6回。土日祝は9:30から15:30までのあいだに12回あります。各回40分程度で、上限は30名。集合場所は東置繭所の1階です。スマートフォンにアプリを入れて聞く無料の音声ガイドもあります。ご利用案内(富岡製糸場) ↗

2. 西置繭所で、ガラスの部屋から倉庫の内側を見る

富岡製糸場の西置繭所の外観。赤煉瓦の壁に白い木の柱と窓扉が並ぶ2階建ての長い倉庫で、2階にはベランダが続いている
西置繭所の外観。保存整備工事が始まる前の2014年11月に撮影されたもの。写真:C1815 / CC0 1.0 · 2014年11月撮影(長辺1600pxに縮小)

敷地の西側に、東置繭所と対になるように建っているのが西置繭所です。創業時に建てられた、もう一棟の繭倉庫です。足かけ6年にわたる保存整備工事を経て、2020年にグランドオープンしました。

この工事で採られたのが、「ハウス・イン・ハウス」という工法です。建物の中に鉄骨を骨組みとして組み、壁と天井をガラスにして、古い倉庫の内側にもうひとつ部屋をつくりました。鉄骨は耐震補強を兼ねています。ガラスの内側には資料を展示するギャラリーと多目的ホールがあり、ガラス越しに、操業の歴史と働いた人の記憶を伝える痕跡を見ることができます。公式サイトは、保存修理と耐震補強、活用のための整備を同時に行う、新しい保存活用のあり方を示した工事だと紹介しています。富岡製糸場を知る(富岡製糸場) ↗

場内では、実演や展示も行われています。フランス式繰糸器(復元機)の実演は、ほぼ毎日、午前の部が10時から11時30分まで、午後の部が14時から15時30分まで。カイコの生態展示は、開場日の午前9時15分から午後4時までです。土・日・祝日には、ブリュナエンジン(復元機)を蒸気で動かす動態展示が、10時30分から14時30分まであります。いずれも予告なく変更や休止になることがあり、カイコは成長の段階によって繭の状態での展示になることもあります。富岡製糸場のみどころ(富岡製糸場) ↗

見学にかかる時間は、公式の「よくあるご質問」では1時間〜1時間30分程度とされています。このコースでは、ガイドツアーに参加したあとで西置繭所と実演を見る前提で、2時間を取りました。よくあるご質問(富岡市観光公式) ↗

3. 駅前の旧富岡倉庫で、煉瓦と石と木の倉庫を見比べる

旧富岡倉庫の広場。正面奥に瓦屋根の煉瓦積みの倉庫、右手前に木造の大きな建物、左端に石積みの倉庫の一部が見える
旧富岡倉庫。正面奥が煉瓦積みの1号倉庫(撮影当時)。写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0 · 2024年1月撮影(左側と上下をトリミングし、長辺1600pxに縮小)

午後は、製糸場のまわりから駅のほうへ歩きます。正門の近くにある旧韮塚製糸場は、製糸場の建設で資材の調達を担った韮塚直次郎が、明治9年に創立した民間の器械製糸場です。富岡製糸場を手本に建てられた製糸場のうち、地下の遺構も含めて現存する唯一の貴重な建造物と考えられていて、令和2年から公開されています。開場は午前9時から午後5時まで、入場は無料です。旧韮塚製糸場(富岡市観光公式) ↗

上州富岡駅のすぐそばにあるのが、旧富岡倉庫です。明治30年代に創業した富岡倉庫株式会社が、繭などを保存するために建てた倉庫3棟と乾燥場の総称で、建築家の隈研吾氏が設計を監修した改修を経て、令和4年5月にグランドオープンしました。明治34年頃の1号倉庫は煉瓦積み、大正12年頃の2号倉庫は大谷石積み、明治33年頃の3号倉庫は木造の土壁と、3棟の造りがすべて違います。真ん中は芝生の広場で、誰でも立ち寄れます。旧富岡倉庫(富岡市観光公式) ↗

煉瓦積みの1号倉庫に入っているのが、群馬県立世界遺産センター「セカイト」です。富岡製糸場と、養蚕にかかわる田島弥平旧宅・高山社跡・荒船風穴の4つの資産が、どうつながって世界遺産になったのかを、映像と展示で紹介しています。開館時間は9:00〜17:00、入館料は無料。休館日は3月〜11月が毎月最終水曜日、12月〜2月が毎週水曜日(祝日の場合は翌日)と、12月29日〜12月31日です。製糸場を見たあとで寄ると、午前に見た建物の意味をもう一度たどれます。開館情報・アクセス(群馬県立世界遺産センター) ↗

最後に、上州富岡駅の駅舎も眺めてみてください。1897年に開業した駅で、今の駅舎は2014年に建て替えられたものです。煉瓦の積み方は富岡製糸場と同じ「フランス積み」。赤煉瓦の製糸場に対して、こちらは薄茶色の煉瓦です。朝に通り過ぎた駅が、帰りには少し違って見えるはずです。隈研吾の建築を富岡市へ見に行こう!(富岡市観光公式) ↗

一日の過ごし方

午前に製糸場を見学し、昼食をはさんで午後は街なかと駅前、という順番です。ガイドツアーに参加する日は、その開始時刻に合わせて到着を前後させてください。

以下の時刻は旅の組み立て例で、列車の発車時刻やガイドツアーの開始時刻ではありません。

時刻の目安過ごし方
10:00上州富岡駅から歩いて製糸場へ。正門近くの旧韮塚製糸場で見学券を買う
10:30富岡製糸場を見学。東置繭所から繰糸所、西置繭所へ
12:30製糸場周辺で昼食
13:45旧韮塚製糸場と、製糸場のまわりの通りを歩く
14:45駅前の旧富岡倉庫と世界遺産センターへ
16:00上州富岡駅から上信電鉄に乗り、高崎経由で帰路へ

製糸場の中では、文化財を守るために食事ができません。飲み物も建物の外で飲む決まりです。昼食は見学を終えてから、製糸場周辺の店でとることになります。この記事では店を特定していません。編集上の候補は「製糸場周辺の食事処」とだけしています。富岡市観光公式サイトのパンフレットのページに、周辺で食事ができる場所を紹介するマップがあります。よくあるご質問(富岡市観光公式) ↗

雨の日は、午後の街歩きを短くして、屋内で過ごせる西置繭所のギャラリーと世界遺産センターの時間を長めに取ってください。雨の日でも製糸場は見学できますが、荒天のときは臨時休場になることがあります。

アクセスと予算

東京駅から上州富岡駅までは、上越・北陸新幹線で高崎駅へ行き、上信電鉄に乗り換えて、約95分と案内されています。これは乗り換えの時間を含まない数字で、上信電鉄の乗車時間は約40分です。高崎駅では、JRの改札を出て西口から外へ出て、左手へ進むと上信電鉄の改札があります。上州富岡駅から富岡製糸場までは、徒歩約15分です。富岡市へのアクセス(富岡製糸場) ↗

高崎駅から上州富岡駅までの片道運賃は810円です。上州富岡駅(上信電鉄) ↗

製糸場を見学するなら、上信電鉄の「富岡製糸場見学往復割引乗車券」が使えます。高崎駅〜上州富岡駅の1往復(1,620円)と富岡製糸場の見学料(1,000円)がセットで2,200円、小人は840円です。別々に買うより420円安くなり、往路と復路でそれぞれ1回、途中下車もできます。高崎駅(上信電鉄)と上州富岡駅で発売されています。富岡製糸場見学往復割引乗車券(上信電鉄) ↗

費目大人1人の想定
東京都心〜高崎の往復として確保4,000〜10,000円
富岡製糸場見学往復割引乗車券(確認済みの料金)2,200円
ガイドツアー(確認済みの料金)200円
昼食1,000〜2,000円
飲み物・おみやげ500〜2,000円
計画上の合計7,900〜16,400円

東京都心〜高崎の4,000〜10,000円は、在来線で行くか新幹線で行くかを決めない予算枠で、確認済みの運賃ではありません。JRの運賃と料金は、乗る列車を決めてからJR東日本の案内でご確認ください。

割引乗車券を使わずに見学券だけを買う場合、個人の見学料金は大人1,000円、高校生・大学生250円(学生証が必要)、小学生・中学生150円で、未就学児は無料です。個人の見学券は、正門近くの旧韮塚製糸場にある自動券売機で買うと入場がスムーズだと案内されています。見学料の支払いにはクレジットカードやスマートフォン決済も使えますが、ガイドツアーの料金には使えません。小銭を用意しておくと安心です。ご利用案内(富岡製糸場) ↗

動画で、富岡製糸場を見てみる

富岡製糸場の公式YouTubeチャンネルが公開している「富岡製糸場世界遺産登録10周年記念動画」を紹介します。富岡製糸場の公式サイトの「みどころ」のページに、PR動画として埋め込まれているものです。

2024年6月に世界遺産登録から10周年を迎えるのを機に、製糸場の文化的な価値と魅力を伝えるためにつくられた、3分半ほどの映像です。2024年3月の公開なので、現在の様子とは違うところがあるかもしれません。場内の雰囲気をつかむための映像で、この日の順路を案内するものではありません。開場時間や料金は、この記事の本文と公式サイトでご確認ください。

出典:Tomioka Silk Mill(富岡製糸場公式、YouTube)
YouTubeで動画を見る ↗ / 富岡製糸場のみどころ(富岡製糸場) ↗

※動画プレーヤーの読み込み時にGoogle/YouTubeへ接続します。プライバシー強化モードでもIPアドレス等の送信を完全には防げません。自動再生はしません。詳細はGoogleのプライバシーポリシー ↗をご確認ください。再生できない場合は上のYouTubeリンクをご利用ください。

出かける前に確認したいこと

開場時間と休場日。 富岡製糸場の開場は9時から17時まで(最終入場は16時30分)、休場日は年末の12月29日から31日までです。点検や整備、荒天や災害で臨時に休場することもあります。個人の見学に予約は要りません。世界遺産センターは水曜日に休館日があり、月によって数が違います。両方を回る日は、出かける前にそれぞれの案内を見ておいてください。ご利用案内(富岡製糸場) ↗

屋外を歩く見学と、暑さ・寒さ・雨。 製糸場の見学コースは外観が中心で、建物から建物へは屋外を歩きます。公式サイトも雨具の用意を呼びかけています。夏は帽子と飲み物を用意し、飲むときは建物の外で。夏季は熱中症対策として、ガイドツアーが30分程度に短縮されることがあります。冬は吹きさらしの場所が多いので、上着を一枚多めに持っていくと安心です。場内はおおむね舗装されていますが、もとは工場なので、段差のある箇所や舗装されていない場所が一部あります。歩きやすい靴で出かけてください。車椅子は無料で借りられます(数に限りがあります)。よくあるご質問(富岡市観光公式) ↗

上信電鉄の本数と、帰りの時刻。 上信電鉄は、日中の上州富岡駅から高崎方面への列車が、おおむね1時間に1〜2本です。1本逃すと次まで間が空くので、帰りに乗る列車を先に決めて、そこから逆算して午後の予定を組んでください。高崎駅でのJRへの乗り継ぎにも余裕を残しておくと、慌てずにすみます。歩く距離を減らしたい日は、土・日曜日と祝日、GWやお盆などの繁忙期に運行される「まちなか周遊観光バス」が使えます。富岡駅東駐車場を9時に出る便から約40分ごとに、上州富岡駅前と富岡製糸場(旧韮塚製糸場)前を結んでいます。時刻表・上州富岡駅(上信電鉄) ↗ / まちなか周遊観光バス(富岡市観光公式) ↗

同じ群馬県で温泉街を歩くなら伊香保温泉の日帰りガイド ↗を、蔵造りの町並みを歩くなら川越の日帰りガイド ↗を。港の赤レンガ倉庫まで歩く横浜の日帰りガイド ↗もあわせてご覧ください。

ローカル線に揺られて、明治の煉瓦を見に行く。午前は工場を歩き、午後は駅前の倉庫でひと息。次の休日は、富岡へ。

次の休日の、もうひとつの候補。

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